作 業 風 景
★ 平成30年 4月18日  サザエとクロアワビを放流しました

 4月12日に、兵庫県の但馬栽培漁業センターで飼育されているサザエとクロアワビを受け取りに行きました。トラックで片道4時間ほどの行程でした。今日それを兵庫漁業協同組合に配付し、地先の海へ放流してもらいました。

 サザエもクロアワビも巻貝なので(アワビはそうとはちょっと思いにくいですけど…)、中心から外向きにらせん状に成長していきます。人が育てている期間、貝殻のその部分には与えられたエサに応じた色が着きます。例えばサザエは銀色っぽい色、アワビは明るい緑色です。放流された後に自然の海で成長した部分は天然のサザエやアワビの色になりますが、その場合でも中心部分の色はそのまま残っているので、その個体が最初は人によって育てられたものと分かります。
 放流した所は、神戸の中心部に近い海沿いの運河です。写真の背景に写っているように、すぐ近くに神戸港や工場や商業施設や学校がある街中です。しかしこの20年〜30年のうちに海も運河も水質が良くなり、多くの種類の生物が見られるようになっています。




★ 平成30年 4月3日  カサゴの試験生産を始めました

 神戸市立栽培漁業センターでは、新魚種への取り組みとして、今年からカサゴの種苗生産を始めることになりました。

 カサゴは海底の岩礁地帯に住む魚で、日本のほぼ全域で見られます。関西ではガシラという名前で親しまれています。姿かたちはとても美しく、くせのない白身がどんな料理法でも楽しめる、魚の王様のような魚です(*個人の感想です…)。

 一般的に魚は雌と雄が海中にそれぞれ卵と精子を放出し、そのうちの一部が運よく受精するのですが、カサゴは、雄と雌が交尾して雌の体内で受精卵ができるという、ちょっと変わった繁殖方法をとります。さらにそれが孵化して小さな魚になった状態で産まれてきます。こういう方法を卵胎生(らんたいせい)と呼んでいます。

 カサゴの親魚は、舞子地区の漁師さんが明石海峡大橋の橋脚付近で釣りで漁獲したものを購入しました。昨年の秋から集め始めたので、その時には雌のお腹にはもう受精卵があったと考えられます。親魚のうちお腹がふくらんでいるもの数尾を飼育水槽のカゴに入れ、産仔(さんし)が確認されたらカゴごと親魚を取り出して、種苗生産が始まりました。今後飼育がうまく進むかはやってみないと分からないのですが、順調にいけば中間育成まで終えて放流しようと思っています。




★ 平成30年 4月1日  平成30年度の栽培センター見学(小学校対象)のご案内

 神戸市立栽培漁業センターでは、小学校での水産業の学習に利用していただくため、見学を受け入れています。平成30年度の見学の申し込みは本日から受け付けます。詳細は「見学のご案内」のページをご覧ください。
 見学は1年を通して可能で曜日にも制限はありませんが、多数の稚魚を見ることができるのは5月から10月くらいの期間です。また防疫上の理由から見学受け入れは1日1校としておりますので、見学候補日が決まりましたら早めに電話でご連絡ください。
 写真は展示室のようすと昨年の生産魚。放流間近のマコガレイ、マダイ、クルマエビ、オニオコゼです。




★ 平成30年 3月30日  ヒラメを3水槽に分槽しました

 ヒラメの仔魚の全長が10ミリメートルを超えました。今年はもともと孵化した仔魚数が多かったため、25キロリットル水槽1面では手狭になってきました。また1か月の使用で水槽の汚れもひどくなってきたので、新しい3水槽に引っ越しました。

 まず水槽の上に分厚い遮光幕をかぶせます。隙間もふさぐと中は真っ暗になります。幕の一部分だけを開いてそこをライトで照らすと、光に集まる習性のある仔魚が少しずつ泳ぎ寄ってきます。隣の新しい3つの水槽まで太いホースでサイホンをかけ、集まった仔魚を飼育水と一緒にゆっくりと送りました。この方法によると、魚を網ですくわずに優しく移槽することができます。
 写真は、最初の4枚が送り元の水槽、次の4枚が受け側の水槽、最後の4枚が作業後の片づけのようすです。今年は作業が特に順調に進み、サイホン管を流れる速さの調整だけで、3水槽に等分に仔魚を分けることができました。




★ 平成30年 3月21日〜25日  ヒラメとマコガレイのその後の成長です(追記あり)

 3月21日にヒラメが生まれて20日目になりました。
 毎日エサをよく食べています。与えているプランクトンは、シオミズツボワムシとそれより大きいアルテミアの2種類になりました。仔魚の体はまだ透き通っていますので、いつどのエサをどのくらい食べたのかがよく分かります(色が赤っぽく大粒に見えるのがアルテミア、緑色なのはクロレラを食べているワムシです)。
 またこのころになると体の形が変化し始めます。頭部には鰭状突起(きじょうとっき)と呼ばれるトサカ状のものが伸びてきます。これにどのような意味があるのかは分からないのですが、飼育者にとっては成長が進んでいる指標になります。また尾にも変化が起こり、その先端が少し上向いてきます。
 最後の4枚の写真は3月25日のもの。顕微鏡で見ると大きく見えても、飼育水槽の中ではまだこんな感じです。それでもはっきり見えるようになっただけ、うれしいものはありますが。鰭状突起はさらに長くなり、尾の先端の曲がりも大きくなってちょっと尾鰭(おびれ)らしく見えます。



 次に、3月14日に兵庫県栽培漁業センターから搬入したマコガレイ稚魚ですが、屋外の水槽ですので飼育水を温めることができず、10℃前後の水温で中間育成中です。それでも冷凍のコペポーダや配合飼料といった動かないエサでも食べるようになってきました。こういうエサはどうしても底に沈みますので、毎日底掃除をして水槽内を清潔に保っています。
 現在のマコガレイはヒラメより体が大きいので、エサを食べているようすが肉眼でもよく分かります。水面に浮いている大きなかたまりが、冷凍コペポーダ。少しずつ溶けてほぐれてきたものを稚魚がつつきに来ます。配合飼料は1枚目の写真にある緑色の機械が撒くのですが、配合が浮いているうちに食べに上がってきてくれた有志がいました (^o^)/



 ところで、今の時点でヒラメとマコガレイの大きさがどのくらい違うかというと、このくらいです。
 背景の茶色の格子は5ミリメートル間隔。ヒラメの全長が10ミリ弱なのに比べて、マコガレイはその3倍以上あります。ヒラメは目がまだ体の両側にあってヒラメらしくありませんが、マコガレイは親と変わらない形や色に育っています。
 ここで注目してほしいのがそれぞれの口の大きさ。自分の目と口の大きさを比べると、マコガレイは目より口の方が小さいのにヒラメは大口ですよね! 将来魚を食べるようになるヒラメの特徴が、もう現れています。



 (追記)3月30日に、兵庫県栽培漁業センターからマコガレイの飼育担当者が視察にいらっしゃいました。お話を伺うと、兵庫栽培で生まれたマコガレイの兄弟姉妹は、現在姫路市と瀬戸内海の坊勢島と南あわじ市にもいて、それぞれ元気に育っているそうです。どこの魚もたぶん6月ごろにその地域の海へ放流されるのでしょう。同じ目的に向けて今同じ仕事をしている人がいると思うと、私たちもがんばろうという気持ちになります。




★ 平成30年 3月13日  ヒラメが順調に成長しています

 25キロリットル水槽のヒラメの仔魚たちは、現在順調に育っています。
 前回の記事ではまだ生まれてすぐの、エサを食べていない状態でしたが、そのあと口と肛門が開き、動物プランクトンのシオミズツボワムシを食べるようになりました。ワムシは生きているプランクトンですので、飼育水中でほどよい密度になるように入れてやれば、ヒラメの仔魚が食べたい時にいつでも食べることができます。
 食べ始めたころは腸管にワムシが2〜3個体見られるような状態でした。それが日に日に増え、さらに腸管自体もぐるりと輪を描くように太く成長して、今では満腹のお腹にワムシが何十個体も詰まっているようになっています。全長も6ミリメートルを超え、孵化した時の2倍になりました。
 写真は横並びの2枚が一組で、上から順に3月6日(日齢5:生まれてから5日目)、3月8日(日齢7)、3月11日(日齢10)、3月12日(日齢11)、3月13日(日齢12)です。背景に格子が写っている場合はその幅が1ミリメートルです。腸管の成長と中のワムシの数をご覧ください。





★ 平成30年 2月28日  平成30年度のヒラメ種苗生産を開始しました

 飼育開始に先立って水槽本体や飼育器具を塩素(次亜塩素酸ナトリウム)で消毒しておきます。親魚から良質の受精卵が得られたら、大きなバケツに入れ、やさしく撹拌(かくはん)してそのうちの60ミリリットルをサンプリングします。その中の卵をすべて計数し、比例計算でバケツの卵の全数を求めます。ここからあらためて必要な量の卵を飼育水槽にボウルで移し、今年の飼育作業が始まりました。
 水槽に収容した卵は45万粒です。卵膜の中では細胞分裂が順調に進み、2日後にこのうちの95%以上(これはとても良好な数字です)が正常に孵化して、全長3ミリメートルほどの仔魚(しぎょ)42.8万尾が得られました。これから6月末までの4か月ほど、毎日きれいな飼育環境を維持し、栄養のあるエサを十分に与えて、育てていきます。
 生まれてすぐの仔魚には、体の下側に楕円形の大きな卵黄がぶら下がっています。このときはまだ消化管ができあがっておらず、口も肛門も開いていない状態です。それで、仔魚は卵黄の栄養を吸収して育っていきます。万能投影機や実体顕微鏡で見ると写真のように細部まで観察できますが、肉眼では、水面に顔を近づけ懐中電灯で照らしても、最後の2枚のようになんとか見えるくらいです。
 新学期が始まって、小学校の5年生が水産業の校外学習で見学にいらっしゃるのは、早くて5月の半ばごろでしょうか。その時にはもう3センチくらいの大きさになっていると思います。そこに至るまでの成長のようすは、今後更新するホームページの写真でご覧ください。





★ 平成30年 2月20日〜22日  冬の作業(その7) 貯水槽の清掃作業を行いました

 取水サイホン管を通って海から汲み上げられた海水は、生海水を溜める貯水槽3つを経て飼育棟まで届きます。20日からの3日間で、これらの水槽をひとつずつ清掃しました。
 20日は取水槽の清掃でした。清掃作業中は飼育水槽への海水給水を止めるため、前もって水槽の水位を上げて水温低下や酸素欠乏に対処します。また給水再開に備えて、取水槽以外の貯水槽を満水にしておきました。それが終わるとサイホンを切って取水槽への海水流入を止め、水中ポンプで海水を抜いてから清掃作業に入りました。
 清掃は取水槽の壁面全面と構築物にジェットポンプでていねいに水をかけて行います(業者さんが作業するのでこのようすの写真はありません)。清掃終了の連絡をもらったら、ふたつめの貯水槽(原水槽)から水中ポンプで海水を戻します。サイホン管の出口が水につかった時点で真空ポンプでサイホンをかけ、取水槽に海水を満たしました。取水ポンプの空気抜きを行いポンプを自動運転に戻したら、清掃作業は終了。飼育水槽への給水を復帰させて今日の予定は終了しました。業者さんと職員が作業を分担しながら、1日がかりの清掃でした。
 その後の2日は、取水槽に続く原水槽・原水高架水槽を同様に洗浄しました。なお、濾過槽を通った後の濾過海水用の貯水槽2槽は、毎年清掃する必要はありません。




★ 平成30年 2月21日  冬の作業(その6) シオミズツボワムシの培養を開始しました

 間もなく始まる平成30年度の種苗生産に備えて、シオミズツボワムシ(以下ワムシと言います)を搬入し培養を始めました。
 ワムシは、輪形動物(りんけいどうぶつ)に属する動物プランクトンです。塩分濃度が薄めの海域、例えば河口近くでふつうに見られるプランクトンで、植物プランクトンをエサに与えて人為的に増やすことができます。そのため、仔魚のエサとして一般的によく使われます。
 購入したワムシは発泡スチロールの箱に入れられ、宅配便で送られてきました。ある程度の温度合わせをした後、とりあえず小さめの容器(容量は1キロリットル)3面に収容し、培養を始めました。3〜4日すると数が増えてきたので、これらをひとつにまとめて、本培養用のコンクリート水槽(容量は10キロリットル)に移しました。こうなると、今年度の生産がいよいよ始まったなあという気になります。




★ 平成30年 2月18日  冬の作業(その5) 飼育棟内のコンクリート柱の補修と、飼育海水を温める温度調節器の交換をしました

 コンクリート柱は、中の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを割っていました。これを元どおりにする工事です。鉄筋にはケレン掛けのあと錆止め塗料を塗ってもらいました。塩分の影響がない場所なら、こういう構造の柱は50年くらい持つそうです。
 温度調節器というのは、飼育水槽にチタン製のパイプを吊り下げ、その中に温水をめぐらすことで飼育水を薄めることなく温める装置の、コントロール部分です。写真では、ボイラーから水槽までの温水循環の経路を紹介しました。写真の最後の方に丸いダイヤルが写っていますが、これは交換する前のアナログ式コントローラー(別の水槽のものです)で、その下が交換後のデジタル式です。旧部品はちょうど30年働いてくれました。




★ 平成30年 2月11日  冬の作業(その4) 水槽の防水塗装工事と錆落下防止ネットの設置が終わりました

 いずれも業者さんにお願いしていた工事です。
 防水塗装は、25キロリットル円型水槽2面と10キロリットル角型水槽3面を、ほぼ2か月かけて、コンクリートや鉄筋の補修からFRP貼り付け、塗装まで終えました。色は鮮やかな水色です。魚たちはどう感じるでしょうか。神戸市の規定では、当センターの水槽に必要な性能や安全性を充たす塗料ではこの色になる、ということでしたが、うろ覚えなのでひょっとしたら違うかも ^^);
 飼育棟内の柱や梁の塗装はこれまでに一度塗りなおしています。それでも建設されて30年になると、鉄骨自体が錆びてかけらが落ちてきます。さいわい今のところ見学者や職員には当たっていませんが、何らかの対策をということで下にネットを張りました。翌日にはさっそく効果がありました。喜ぶべきなのか、どうなのか…




★ 平成30年 1月25日  冬の作業(その3) 取水サイホン管の清掃を実施しました

 取水系統の最初(一番海側)にある取水サイホン管の清掃を行いました。取水サイホン管は、水深8メートルの海底近くを流れる海水を、栽培センターのひとつめの貯水槽に引き込むためのものです。内径が35センチ長さ70メートルの特殊な鋼管製で、それが2本、並行に設置してあります。1年間の使用により内部にムラサキイガイやカキ・フジツボなどの付着物が付いて内径が細くなるため、これらをこそぎ落とす作業です。ふつうは2日かけて1本ずつ清掃するのですが、今年は寒波による強風のため初日は準備作業だけにし、2日目にまとめて2本清掃しました。
 清掃作業は、ピグと呼ばれるスポンジ製のタマを管の端に取り付けたランチャーに装填し、その後ろからポンプで水圧をかけて少しずつ押し進める方法で行います。70メートルの管内をピグはゆっくり進み、内側に付着した貝やフジツボを押し出します。海中ではダイバーが取水先端に生えた海藻などを掃除しながらピグの排出を待ち受けます。今年もピグは順調に進み、5分ほどで海面に浮かびあがりました。硬軟2種のピグを使ってサイホン管1本につき2回、合計4回の清掃を行いました。
 朝のうちは寒いけれど風はゆるく日差しもある天候でしたが、午後には風が強まり、雪が降っている場所が海上のあちこちに見えるような冬の天気になりました。その中で夕方まで長時間仕事をしてくれた作業の方、特にダイバーさんにはほんとうにお疲れさまでした。




★ 平成30年 1月14日〜  冬の作業(その2) 自給タンクを清掃しました

 3台ある原水ポンプの吸入側に自給タンクが1基ずつあります。写真のようにとても大きなFRP製のタンクです。この中を負圧に保っておくことで、原水ポンプが停止しているときにも配管の海水がひとつ手前の貯水槽へ戻っていかないようにすることができます。
 タンク内を常圧に戻した後で点検用の丸窓を開けて中に入り、ヘラやたわしを使って1年間の汚れをこすり落としました。同時に丸窓も洗い、負圧を制御するための電極棒を交換しました。写真の後半で同じ部分が左右に2枚並んでいるのは、左が清掃前、右が清掃後のものです。
 原水ポンプや真空ポンプなど、栽培センターの機械設備は毎年のメンテナンスで部品を交換していきます。そのため数年もすると見かけは同じでも内容は一新されていることがありますが、自給タンクは栽培センターができてからずっと使っている30年モノです。破損につながるような亀裂や異常は見られなかったので、次の冬までの1年間、また働いてくれることでしょう。




★ 平成30年 1月12日  寒波到来…

 あけましておめでとうございます。
 この冬一番の寒波がやってきましたね。豪雪地帯での大雪、またあまり降らない地域で予想外の降雪に合われた方に、お見舞い申し上げます。
 瀬戸内にある神戸は基本的には温暖で雪も少ない、ということになっていますが…(写真の温度計は今日のお昼です)。さすがに今朝は最低気温が−1.6℃に下がり、親魚水槽の水温も10℃を割り込みました。1か月前の下の記事と比べて5℃以上低下しています。オニオコゼとカサゴの親魚には担当者が目の前でエサを振って給餌しているのですが(エサはマアジです)、震えながら1時間以上かけて与えてもほとんど食べなくなってきました。「活きエビなら少しは食べてあげてもいいよ」、といった具合です。余ったアジをヒラメの親魚水槽に投げ入れると、これは気持ちよいくらいに食べてくれます。魚もいろいろです。
 防水塗装の補修工事は順調に進んでおり、現在はエポキシ樹脂モルタル、というものを塗ったところ(その写真はうまく撮れませんでした)。私たち職員は普通の塗料で、錆落としした鉄製品を塗っています。




★ 平成29年 12月11日  冬の作業(その1) 設備のメンテナンスを始めました

 急に冷え込んで冬らしい天候になりましたね。海水温は気温よりも遅れて昇降するためまだ15℃台を保っていますが、それでも飼育している親魚はエサを食べにくくなってきました。
 栽培漁業センターでの仕事も秋までとは変わって、種苗生産や中間育成をしている時にはできなかった、給水や電気を止めて行なう設備のメンテナンスが中心になります。今回は、長年の懸案だった水槽の防水塗装補修工事の開始と、フローセル(流量計)の分解洗浄のようすを写真でご紹介しましょう。
 防水塗装の補修はもちろん工事業者に依頼します。コンクリート内の鉄筋が錆びて膨張しているので、そこからやり直す大工事です。1日目は水槽周りの養生をしました。このあと水洗い・はつり・鉄筋補修と進んでいき、最後に塗装をします。小さな機器の補修や清掃は自分たちで行います。




★ 平成29年 11月上旬〜中旬  「トライやるウイーク」を受け入れました

 11月の前半に神戸市内の4校から中学生が職場体験に来て、いっしょに飼育作業をしました。
 写真はそのうちの2日です。見学者用にまだおいているヒラメ稚魚の全長と体重を測り、その親魚の移槽(水槽替え)を行いました。屋外水槽のマダイにはエサを与えてみました。次の学校の生徒には、そのマダイを取り上げて海づり公園の釣台から放流する仕事をお願いしました。
 初めに説明した作業の目的や注意点をよく理解して、きちんと仕事を進めていました。作業としては単調な水槽清掃や飼育以外の草刈りなどもありましたが、みんな最後までていねいに作業してくれました。
(写真は許可を得て掲載しています)




★ 平成29年 11月2日  小学校の見学風景です(来年度の見学のご案内)

 今年も水産業に関する校外学習として、多くの小学校から見学に来ていただきました。ほとんどが第1次産業について習う5年生です。
 1学期に見学した方には、たくさんの水槽で泳ぎ回るヒラメの稚魚や屋外水槽のマコガレイを見ていただきました。また2学期に来られた方には、小さなネットにすし詰め状態のオニオコゼの稚魚と、今年は特にマリンピア神戸のイケスから持ち帰った元気いっぱいのマダイの稚魚を見てもらいました。7月の中旬以降に運よくいらっしゃった場合には、小さなクルマエビが水槽にびっしり入って泳いでいる姿が見られます。
 11月の現在は事業としての稚魚放流はすべて終了し、見学者用にヒラメ・オニオコゼ・マダイを残すだけとなりました。それも上旬にある1校が終わると自主放流します。
 飼育している現場に飼育者以外の人が入ることは、稚魚にとっての安全面ではあまり勧められることではありません。疾病の危険性がどうしても高くなるからです。多くの栽培漁業センターではふつう大がかりな見学は受け入れていませんし、大切な時期にはその魚種の飼育担当者しか水槽に近寄らないと決めていることもあります。一方で見学を受け入れると、最後の質問コーナーで出てくる小学生のさまざまな意見を聞いて、不思議に力が湧いてくることもよくあります。彼らから分けてもらった元気が飼育結果に反映することはきっとあるでしょう。
 どうぞ来年も、多数見学にお越しください。見学のしかたは、トップページの「見学のご案内」に示してあります。




★ 平成29年 10月18日  マナマコを放流しました

 マナマコは、棘皮(きょくひ)動物に分類される海のいきものです。ヒトデやウニの仲間ですね。体のつくりはかなり単純で、魚類だけでなく栽培漁業の対象となっている魚以外のもの(たとえばエビ・カニや貝類)と比べてもシンプルです。だからといって育てやすいというわけでもないようですが…。
 新魚種開発として、5月10日に採卵し飼育試験を行っていたマナマコが、1〜3センチメートルくらいに育ちました。海水の温度が少し下がってくるのを待って、神戸市内でナマコ漁をしている漁師さんに放流してもらいました。とりあえず初年度としては目標達成といったところでしょうか。
 栽培漁業センターの今年度の事業放流は、これですべて終了しました。今後は、来年の生産に活かすために各魚種の飼育データをまとめて分析することや、傷んだ飼育器具の修理や設備のメンテナンス、今年使った経費の見直しと来年度予算の作成などが仕事のメインになります。でもマダイとヒラメとオニオコゼの稚魚はまだたくさん飼育していますから、これから見学にいらっしゃる小学校の方も心配はいりませんよー。




★ 平成29年10月13日  キジハタの受け取りおよび放流を行いました

 日本海側にある兵庫県但馬栽培漁業センターまでキジハタの稚魚を受け取りに行き、その日のうちに漁師さんに渡して放流してもらいました。
 キジハタは関西ではアコウとも呼ばれている非常においしい魚ですが、数がきわめて少ないため漁業者からの放流希望が大きく、栽培漁業にとってはとても大切な魚種です。ただ現在の飼育技術では、飼育の初期に原因不明の大量斃死が起きることがあり、毎年安定して多数を生産するのがむずかしい魚でもあります。
 朝6時半に1キロリットルの活魚運搬タンクを積んだトラックで神戸を出発し、10時に但馬栽培センターの水槽からタンクへ稚魚をフィッシュポンプで積み込むととんぼ返りして、午後3時すぎに神戸の海に放すことができました。船を出した漁師さんに尋ねると、放流したのは水深8メートル、底が石に覆われている場所とのことです。この数年でキジハタの漁獲は少しずつ上向いているということなので、今後も毎年放流を続けていければと思います。




★ 平成29年 9月22日  アサリを放流しました

 5月18日に種苗生産を始めたアサリが殻長(かくちょう)1ミリメートルを超えたので、神戸市漁業協同組合に配付し須磨海岸に放流しました。
 一般に、魚類と比べると貝類は卵や孵化幼生のサイズが2桁ほど小さく、また放流するときのサイズも同様です。そのかわり、放流する個体数は何百万、時には何千万個体という多数になります。
 須磨海岸の砂浜は今年海底耕耘(こううん)と養浜を行いました。その砂地に小型の船で接近し、ポリ袋に小分けしたアサリの稚貝を撒きました。夏前から毎週のように魚類の放流をしてきた後では、アサリの放流は作業量が少なくあっけなく終わって、何だか頼りない感じもします。それでも自然の状態で親貝が産卵し、稚貝が自分で成長していくことと比べると、放流後の生残率はずっと高くなると思われます。




★ 平成29年 9月12日・19日  オニオコゼの放流を行いました

 中間育成しているオニオコゼが全長50ミリメートルを超えたので、漁業協同組合に配付し、放流してもらいました。
 オニオコゼの酸素欠乏に対する心配はマダイほどではないのですが、そのため自前のトラックだけで運搬しますので、やはり気を抜くことはできません。2日とも大勢の漁師さんが集まり、手早くタモ網で稚魚を海に放しました。稚魚たちはオレンジ色の胸鰭(むなびれ)をゆらめかせながら、海底へと沈んで行きました。




★ 平成29年 8月4日〜9月8日  マダイを放流しました

 マリンピア神戸・海洋牧場のイケスで7月6日から中間育成しているマダイ稚魚を、成長に応じて順次放流しました。
 マダイは運動量の多い魚種であり、また水温が高い時期でもあることから、自動給餌器や手撒きで配合飼料を与えると、そこへ稚魚が集団で押し寄せて元気に摂餌します。7月7日の搬入時に全長が24ミリメートルだった稚魚は、8月初めに60ミリ以上、9月初めには80ミリ以上に成長しました。
 マダイの放流では、栽培センターの1.5トン車では積載できる水量が少ないため、2トントラックもレンタルし、漁協のトラックと3台態勢で稚魚を運搬します。イケスの稚魚をバケツリレーで活魚運搬車に積み込むと、ブロアポンプと酸素ボンベで酸素を供給しながら漁師さんの待つ漁港へ急ぎました。稚魚が酸素欠乏にならないよう、漁港でも手早く作業し、船の活け間や水槽に移します。
 今年はマダイを7回放流しました。以下の写真は、7回分の作業を、イケスからの取り上げ・トラック輸送・船での放流など、内容ごとにまとめて掲載しました。




★ 平成29年 8月19日  栽培漁業センター見学会を開催しました

 栽培センターの見学は、通常は小学校の校外学習だけをお受けしているのですが、年に1度、一般の方を対象にした見学会を開催しています。今年は8月19日に実施しました。
 参加者はまず最初に展示室で神戸市立栽培漁業センターができてから30年間のあゆみを聞き、親魚から採卵して稚魚を育て海に放流するまでの仕事の内容をビデオで見ました。そのあと飼育棟に入って、現在飼育されているヒラメ・オニオコゼの水槽や、すでに放流が終わったマコガレイ・メバル・クルマエビやアワビ・サザエの展示魚を見学しました。またヒラメの稚魚に配合飼料を与えてみました。最後にめいめい稚魚の入ったバケツを持って海づり公園の釣台に移動し、ヒラメの稚魚を放流しました。ヒラメの大きな親魚も職員が1尾放流しました。
 体験の途中にも熱心な質問をいただき、職員にとってもしっかりがんばろうと思えた1日になりました。例年以上に暑い中、ご参加くださいまして本当にありがとうございました。
 当日のようすを写真でご覧ください。




★ 平成29年 8月17日・18日  クルマエビの放流を行いました

 7月12日から中間育成していたクルマエビの体長が40ミリを超えたため、8月17日に兵庫漁業協同組合、18日には神戸市漁業協同組合に配付し、放流しました。
 兵庫漁協へは、クルマエビを水槽から回収し計数した当日にトラックで運んで行き、バケツに移して運河の砂地に撒きました。神戸市漁協放流分は、もう一度飼育水槽に戻しておいたクルマエビを翌日、同様に砂地のある須磨海岸までトラックで運び、サイホンホースとバケツの手撒きで放流しました。スズキやクロダイなどの大型魚が寄ってくる気配は特にありませんでした。何とかうまく放流できたようです。





★ 平成29年 7月15日  アジュール舞子でヒラメの稚魚を放流しました

 アジュール舞子の海開きイベントのひとつとして、海岸に集まった参加者にヒラメの稚魚を放流してもらいました。
 漁業協同組合に対するヒラメの配付放流はもう終わったのですが、あちこちのイベント放流に使ってもらえるよう、まだ1水槽分のヒラメを飼育しています。この中から1,000尾のヒラメを活魚タンクに入れて、この夏の最初のイベントであるアジュール舞子の海開きに出向きました。真夏そのものの好天のもと、おとなこども合わせて集まってくれた大勢の方に、10センチに育ったヒラメを砂浜から放流していただきました。
 ヒラメ(時にはマダイも)のイベント放流は、夏休みの8月末まで、海づり公園やさかなの学校や神戸市漁業協同組合主催で何度も行われます。お出かけ時に行き合わせた方は、どうぞふるってご参加ください。




★ 平成29年 7月12日  クルマエビの中間育成を始めました

 ひょうご豊かな海づくり協会の淡路事業場から、全長15ミリメートルのクルマエビの稚エビを搬入し、屋内の25キロリットル円形水槽2面で中間育成を始めました。
 一般に生まれた時のエビやカニ類はおとなとまったく違った形をしており、プランクトンとして浮遊生活を送ります。このころを兵庫県のセンターで過ごしたクルマエビは、小さいとはいえしっかりエビの形になって、神戸市の栽培センターへやってきました。水槽に収容すると遊泳脚(ゆうえいきゃく)を忙しく動かして泳ぎ始めました。放流時期はマダイと同じで8月下旬ごろを予定しています。そのころには全長は50ミリ程度になります。
 小学校の水産学習の一環として毎年多くの学校が見学にいらっしゃるのですが、他の学校行事との兼ね合いで、クルマエビの飼育期間中に見学に来ることができる学校は多くありません。直径5メートルの大型水槽にいっぱいのクルマエビはなかなかに見応えがあるのですが…。とはいえ放流した後でも、展示用水槽にいくらかは残しておきますので、クルマエビの稚エビを見ていただくことはできます。




★ 平成29年 7月11日  シロメバルを放流しました

 4月下旬から中間育成していたシロメバルの稚魚を配付放流しました。

 兵庫県栽培漁業センターから試験生産魚の配付を受けて中間育成していたシロメバルが、6センチメートル近くに成長しました。屋外の巡流水槽へ移っていた稚魚を取り上げ全数計数し、次いで全長・体重を測定しました。その後他の魚種の場合と同様に、トラックで漁港まで運び漁船で適地に放流しました。栽培センターで飼育している魚種の中でもトップクラスに慎重な魚であるため、放流された後も強い魚からちゃんと逃げて、無事育ってくれると思います。




★ 平成29年 7月6日  マダイの中間育成を開始しました

 今日、全長24ミリメートルのマダイ稚魚をマリンピア神戸にある海洋牧場のイケス2面に搬入しました。これは5月から明石市にある兵庫県の栽培漁業センターで種苗生産されていたものです。全長が50〜80ミリメートルに育つ8月〜9月上旬まで海洋牧場で中間育成し、その後放流する予定です。
 搬入作業のようすです。10万尾のマダイ稚魚は1キロリットルの活魚運搬タンク3基で運ばれてきました。タンクの水温を現地の海水温に近づけた後、バケツリレーでイケスにそっと流し込みました。マダイの飼育時期は1年のうちでも水温が高いため、搬入や放流時の酸素欠乏や飼育中の病気・活力低下にはとても気を使います。一方でエサをよく食べる魚種であることから、成長が速く気持ちのいい飼育が楽しめます。




★ 平成29年 6月6日〜30日  ヒラメの配付放流を実施しました

 中間育成しているヒラメが放流サイズに育ったので、ほぼ毎週1回のペースで、神戸市内の7地区に配付し放流しました。
 毎回の放流量は栽培センターの25キロリットル飼育水槽1面分です。これがトラックの活魚タンクで漁港まで安全に運べる稚魚の量の上限で、また漁船で放流場所まで運べる最大量だからです。ただし稚魚は毎週(いえ毎日毎日!)成長して大きくなるので、放流尾数はだんだん少なくなります。最初の放流では全長が50ミリメートルで3万尾ほどですが、6回目の最後の放流では全長は100ミリ近くになっており、そのかわり尾数は7千尾くらいに減ります。
 海の水産資源を増やすことを目的に放流しているのですから、稚魚が自分ひとりの力で生きていけることと、なるべくたくさんの数を放流できることのふたつを考え合わせて、放流する稚魚の大きさを決めています。




★ 平成29年 6月3日  オニオコゼの種苗生産を始めました

 ヒラメの生産が順調に進み、飼育の作業量がピークを過ぎたので、オニオコゼの生産を開始しました。
 5月20日に、オニオコゼの親魚を淡水浴した後、採卵用の水槽に移槽しました。同時に採卵槽と仔魚飼育水槽や飼育器具を消毒し、産卵に備えます。今年は卵質の良い受精卵が多数得られた6月3日に、1回次・2回次を卵収容し、種苗生産を始めました。
 受精卵は2日かけて順調に孵化し、その後日に日に成長していきました。そのようすを写真でご覧ください。最後の写真は6月22日、日齢18のもの。オニオコゼの成長はヒラメよりやや遅く、これから3か月〜5か月かけて飼育した後、放流することになります。




★ 平成29年 5月12日〜24日  マコガレイを放流しました

 3月下旬から中間育成していたマコガレイの稚魚が、2か月の飼育で全長45ミリメートルほどに育ちました。神戸市内にあるふたつの漁業協同組合に連絡し、4回に分けて適地に放流してもらいました。そのうちの2回には地元の小学生が参加してくれたので、その時のようすを掲載します。

 放流魚は前日に飼育水槽から取り上げ、計数も済ませておきます。マコガレイの場合は1回に取り上げる尾数が数千尾程度ですので、全数計数しました。放流当日には網イケスを傾けて手早く回収した稚魚をトラックの運搬水槽に移し、漁港ではさらに船の活け間にバケツリレーします。ライフジャケットを着てスタンバイしていた小学生が3隻の漁船に分乗し、放流場所に向かいます。船はそれぞれ3往復して、100人近くの子供たちが漁師さんと一緒に稚魚を放流しました。帰港後は予定外の質問コーナーがあり、このマコガレイの飼育のようすや現在育てているヒラメのことについて質問が相次ぎました。




★ 平成29年 5月6日〜9日  ヒラメを取り上げました

 3水槽で種苗生産中のヒラメを1日に1水槽ずつ取り上げ、計数と全長測定を行いました。取り上げた仔魚は同じ大きさの25キロリットル水槽5面に分槽し、収容しきれなかった分は垂水漁港に自主放流しました。

 作業は、元の水槽の水位を落とすことから始まります。時間をかけてゆっくり水量を減らしながら、同時に水槽外の排水溝に仔魚を回収するネットを張り、運搬するバケツに決まった量の海水を入れて準備を進めます。回収ネットに仔魚が溜まってきたらこれをタモ網ですくい、先ほど準備したバケツに入れて重さを測ったあと、新しい水槽へ運びます。1水槽の仔魚の総重量は15キログラム程度でした。途中で何回かサンプルを取って(これはバケツの仔魚では数が多すぎて大変なので、小さなボールで行います)調べた1尾あたりの重量で割ると、尾数は10万尾近くになりました。
 新しい1水槽には全長25ミリメートルの稚魚を3.5万尾ほど収容しました。元の水槽の半分以下ですね。最後の写真6枚は、2枚ずつ、元の水槽・新しい水槽に5千尾ほど入ったところ・移槽完了時のようすです。密度的にはだいぶん楽になりましたが、これでもひと月たつとまた過密になるでしょう。なお今後の飼育は呼び名が中間育成に変わり、魚も仔魚ではなく稚魚と呼ばれるようになります。(作業写真の一部は、昨年のものを使いました)




★ 平成29年 5月5日  シロメバルを中間育成しています

 4月下旬に兵庫県栽培漁業センターからシロメバル稚魚の配付を受け、現在中間育成中です。

 メバルは淡白で上品な白身が特徴の、漁師さんや釣り人にも人気の高い魚種です。兵庫県で試験的に種苗生産していたものが今回うまく育ったため、臨時に配付してもらえることになりました。神戸市立栽培漁業センターに来た後は、3キロリットルの水槽2面で飼育しています。
 現在は、冷凍したプランクトンを水槽につるしたカゴで溶かし、配合飼料を1日に何回も手で撒いて給餌しています。良くエサを食べるようになってはいるのですが、とても目が良く慎重な性質のため、配合を撒く手の少しの動きや音・振動に驚いて、クモの子を散らすように逃げていきます。海の中で生き残るためには大事な性質なのでしょう。
 それにしても大きな目ですね。漢字で「眼張」と書くことがあるのもうなずけます。