作 業 風 景
★ 平成29年10月13日  キジハタの受け取りおよび放流を行いました

 日本海側にある兵庫県但馬栽培漁業センターまでキジハタの稚魚を受け取りに行き、その日のうちに漁師さんに渡して放流してもらいました。
 キジハタは関西ではアコウとも呼ばれている非常においしい魚ですが、数がきわめて少ないため漁業者からの放流希望が大きく、栽培漁業にとってはとても大切な魚種です。ただ現在の飼育技術では、飼育の初期に原因不明の大量斃死が起きることがあり、毎年安定して多数を生産するのがむずかしい魚でもあります。
 朝6時半に1キロリットルの活魚運搬タンクを積んだトラックで神戸を出発し、10時に但馬栽培センターの水槽からタンクへ稚魚をフィッシュポンプで積み込むととんぼ返りして、午後3時すぎに神戸の海に放すことができました。船を出した漁師さんに尋ねると、放流したのは水深8メートル、底が石に覆われている場所とのことです。この数年でキジハタの漁獲は少しずつ上向いているということなので、今後も毎年放流を続けていければと思います。




★ 平成29年 9月22日  アサリを放流しました

 5月18日に種苗生産を始めたアサリが殻長(かくちょう)1ミリメートルを超えたので、神戸市漁業協同組合に配付し須磨海岸に放流しました。
 一般に、魚類と比べると貝類は卵や孵化幼生のサイズが2桁ほど小さく、また放流するときのサイズも同様です。そのかわり、放流する個体数は何百万、時には何千万個体という多数になります。
 須磨海岸の砂浜は今年海底耕耘(こううん)と養浜を行いました。その砂地に小型の船で接近し、ポリ袋に小分けしたアサリの稚貝を撒きました。夏前から毎週のように魚類の放流をしてきた後では、アサリの放流は作業量が少なくあっけなく終わって、何だか頼りない感じもします。それでも自然の状態で親貝が産卵し、稚貝が自分で成長していくことと比べると、放流後の生残率はずっと高くなると思われます。




★ 平成29年 9月12日・19日  オニオコゼの放流を行いました

 中間育成しているオニオコゼが全長50ミリメートルを超えたので、漁業協同組合に配付し、放流してもらいました。
 オニオコゼの酸素欠乏に対する心配はマダイほどではないのですが、そのため自前のトラックだけで運搬しますので、やはり気を抜くことはできません。2日とも大勢の漁師さんが集まり、手早くタモ網で稚魚を海に放しました。稚魚たちはオレンジ色の胸鰭(むなびれ)をゆらめかせながら、海底へと沈んで行きました。




★ 平成29年 8月4日〜9月8日  マダイを放流しました

 マリンピア神戸・海洋牧場のイケスで7月6日から中間育成しているマダイ稚魚を、成長に応じて順次放流しました。
 マダイは運動量の多い魚種であり、また水温が高い時期でもあることから、自動給餌器や手撒きで配合飼料を与えると、そこへ稚魚が集団で押し寄せて元気に摂餌します。7月7日の搬入時に全長が24ミリメートルだった稚魚は、8月初めに60ミリ以上、9月初めには80ミリ以上に成長しました。
 マダイの放流では、栽培センターの1.5トン車では積載できる水量が少ないため、2トントラックもレンタルし、漁協のトラックと3台態勢で稚魚を運搬します。イケスの稚魚をバケツリレーで活魚運搬車に積み込むと、ブロアポンプと酸素ボンベで酸素を供給しながら漁師さんの待つ漁港へ急ぎました。稚魚が酸素欠乏にならないよう、漁港でも手早く作業し、船の活け間や水槽に移します。
 今年はマダイを7回放流しました。以下の写真は、7回分の作業を、イケスからの取り上げ・トラック輸送・船での放流など、内容ごとにまとめて掲載しました。




★ 平成29年 8月19日  栽培漁業センター見学会を開催しました

 栽培センターの見学は、通常は小学校の校外学習だけをお受けしているのですが、年に1度、一般の方を対象にした見学会を開催しています。今年は8月19日に実施しました。
 参加者はまず最初に展示室で神戸市立栽培漁業センターができてから30年間のあゆみを聞き、親魚から採卵して稚魚を育て海に放流するまでの仕事の内容をビデオで見ました。そのあと飼育棟に入って、現在飼育されているヒラメ・オニオコゼの水槽や、すでに放流が終わったマコガレイ・メバル・クルマエビやアワビ・サザエの展示魚を見学しました。またヒラメの稚魚に配合飼料を与えてみました。最後にめいめい稚魚の入ったバケツを持って海づり公園の釣台に移動し、ヒラメの稚魚を放流しました。ヒラメの大きな親魚も職員が1尾放流しました。
 体験の途中にも熱心な質問をいただき、職員にとってもしっかりがんばろうと思えた1日になりました。例年以上に暑い中、ご参加くださいまして本当にありがとうございました。
 当日のようすを写真でご覧ください。




★ 平成29年 8月17日・18日  クルマエビの放流を行いました

 7月12日から中間育成していたクルマエビの体長が40ミリを超えたため、8月17日に兵庫漁業協同組合、18日には神戸市漁業協同組合に配付し、放流しました。
 兵庫漁協へは、クルマエビを水槽から回収し計数した当日にトラックで運んで行き、バケツに移して運河の砂地に撒きました。神戸市漁協放流分は、もう一度飼育水槽に戻しておいたクルマエビを翌日、同様に砂地のある須磨海岸までトラックで運び、サイホンホースとバケツの手撒きで放流しました。スズキやクロダイなどの大型魚が寄ってくる気配は特にありませんでした。何とかうまく放流できたようです。





★ 平成29年 7月15日  アジュール舞子でヒラメの稚魚を放流しました

 アジュール舞子の海開きイベントのひとつとして、海岸に集まった参加者にヒラメの稚魚を放流してもらいました。
 漁業協同組合に対するヒラメの配付放流はもう終わったのですが、あちこちのイベント放流に使ってもらえるよう、まだ1水槽分のヒラメを飼育しています。この中から1,000尾のヒラメを活魚タンクに入れて、この夏の最初のイベントであるアジュール舞子の海開きに出向きました。真夏そのものの好天のもと、おとなこども合わせて集まってくれた大勢の方に、10センチに育ったヒラメを砂浜から放流していただきました。
 ヒラメ(時にはマダイも)のイベント放流は、夏休みの8月末まで、海づり公園やさかなの学校や神戸市漁業協同組合主催で何度も行われます。お出かけ時に行き合わせた方は、どうぞふるってご参加ください。




★ 平成29年 7月12日  クルマエビの中間育成を始めました

 ひょうご豊かな海づくり協会の淡路事業場から、全長15ミリメートルのクルマエビの稚エビを搬入し、屋内の25キロリットル円形水槽2面で中間育成を始めました。
 一般に生まれた時のエビやカニ類はおとなとまったく違った形をしており、プランクトンとして浮遊生活を送ります。このころを兵庫県のセンターで過ごしたクルマエビは、小さいとはいえしっかりエビの形になって、神戸市の栽培センターへやってきました。水槽に収容すると遊泳脚(ゆうえいきゃく)を忙しく動かして泳ぎ始めました。放流時期はマダイと同じで8月下旬ごろを予定しています。そのころには全長は50ミリ程度になります。
 小学校の水産学習の一環として毎年多くの学校が見学にいらっしゃるのですが、他の学校行事との兼ね合いで、クルマエビの飼育期間中に見学に来ることができる学校は多くありません。直径5メートルの大型水槽にいっぱいのクルマエビはなかなかに見応えがあるのですが…。とはいえ放流した後でも、展示用水槽にいくらかは残しておきますので、クルマエビの稚エビを見ていただくことはできます。




★ 平成29年 7月11日  シロメバルを放流しました

 4月下旬から中間育成していたシロメバルの稚魚を配付放流しました。

 兵庫県栽培漁業センターから試験生産魚の配付を受けて中間育成していたシロメバルが、6センチメートル近くに成長しました。屋外の巡流水槽へ移っていた稚魚を取り上げ全数計数し、次いで全長・体重を測定しました。その後他の魚種の場合と同様に、トラックで漁港まで運び漁船で適地に放流しました。栽培センターで飼育している魚種の中でもトップクラスに慎重な魚であるため、放流された後も強い魚からちゃんと逃げて、無事育ってくれると思います。




★ 平成29年 7月6日  マダイの中間育成を開始しました

 今日、全長24ミリメートルのマダイ稚魚をマリンピア神戸にある海洋牧場のイケス2面に搬入しました。これは5月から明石市にある兵庫県の栽培漁業センターで種苗生産されていたものです。全長が50〜80ミリメートルに育つ8月〜9月上旬まで海洋牧場で中間育成し、その後放流する予定です。
 搬入作業のようすです。10万尾のマダイ稚魚は1キロリットルの活魚運搬タンク3基で運ばれてきました。タンクの水温を現地の海水温に近づけた後、バケツリレーでイケスにそっと流し込みました。マダイの飼育時期は1年のうちでも水温が高いため、搬入や放流時の酸素欠乏や飼育中の病気・活力低下にはとても気を使います。一方でエサをよく食べる魚種であることから、成長が速く気持ちのいい飼育が楽しめます。




★ 平成29年 6月6日〜30日  ヒラメの配付放流を実施しました

 中間育成しているヒラメが放流サイズに育ったので、ほぼ毎週1回のペースで、神戸市内の7地区に配付し放流しました。
 毎回の放流量は栽培センターの25キロリットル飼育水槽1面分です。これがトラックの活魚タンクで漁港まで安全に運べる稚魚の量の上限で、また漁船で放流場所まで運べる最大量だからです。ただし稚魚は毎週(いえ毎日毎日!)成長して大きくなるので、放流尾数はだんだん少なくなります。最初の放流では全長が50ミリメートルで3万尾ほどですが、6回目の最後の放流では全長は100ミリ近くになっており、そのかわり尾数は7千尾くらいに減ります。
 海の水産資源を増やすことを目的に放流しているのですから、稚魚が自分ひとりの力で生きていけることと、なるべくたくさんの数を放流できることのふたつを考え合わせて、放流する稚魚の大きさを決めています。




★ 平成29年 6月3日  オニオコゼの種苗生産を始めました

 ヒラメの生産が順調に進み、飼育の作業量がピークを過ぎたので、オニオコゼの生産を開始しました。
 5月20日に、オニオコゼの親魚を淡水浴した後、採卵用の水槽に移槽しました。同時に採卵槽と仔魚飼育水槽や飼育器具を消毒し、産卵に備えます。今年は卵質の良い受精卵が多数得られた6月3日に、1回次・2回次を卵収容し、種苗生産を始めました。
 受精卵は2日かけて順調に孵化し、その後日に日に成長していきました。そのようすを写真でご覧ください。最後の写真は6月22日、日齢18のもの。オニオコゼの成長はヒラメよりやや遅く、これから3か月〜5か月かけて飼育した後、放流することになります。




★ 平成29年 5月12日〜24日  マコガレイを放流しました

 3月下旬から中間育成していたマコガレイの稚魚が、2か月の飼育で全長45ミリメートルほどに育ちました。神戸市内にあるふたつの漁業協同組合に連絡し、4回に分けて適地に放流してもらいました。そのうちの2回には地元の小学生が参加してくれたので、その時のようすを掲載します。

 放流魚は前日に飼育水槽から取り上げ、計数も済ませておきます。マコガレイの場合は1回に取り上げる尾数が数千尾程度ですので、全数計数しました。放流当日には網イケスを傾けて手早く回収した稚魚をトラックの運搬水槽に移し、漁港ではさらに船の活け間にバケツリレーします。ライフジャケットを着てスタンバイしていた小学生が3隻の漁船に分乗し、放流場所に向かいます。船はそれぞれ3往復して、100人近くの子供たちが漁師さんと一緒に稚魚を放流しました。帰港後は予定外の質問コーナーがあり、このマコガレイの飼育のようすや現在育てているヒラメのことについて質問が相次ぎました。




★ 平成29年 5月6日〜9日  ヒラメを取り上げました

 3水槽で種苗生産中のヒラメを1日に1水槽ずつ取り上げ、計数と全長測定を行いました。取り上げた仔魚は同じ大きさの25キロリットル水槽5面に分槽し、収容しきれなかった分は垂水漁港に自主放流しました。

 作業は、元の水槽の水位を落とすことから始まります。時間をかけてゆっくり水量を減らしながら、同時に水槽外の排水溝に仔魚を回収するネットを張り、運搬するバケツに決まった量の海水を入れて準備を進めます。回収ネットに仔魚が溜まってきたらこれをタモ網ですくい、先ほど準備したバケツに入れて重さを測ったあと、新しい水槽へ運びます。1水槽の仔魚の総重量は15キログラム程度でした。途中で何回かサンプルを取って(これはバケツの仔魚では数が多すぎて大変なので、小さなボールで行います)調べた1尾あたりの重量で割ると、尾数は10万尾近くになりました。
 新しい1水槽には全長25ミリメートルの稚魚を3.5万尾ほど収容しました。元の水槽の半分以下ですね。最後の写真6枚は、2枚ずつ、元の水槽・新しい水槽に5千尾ほど入ったところ・移槽完了時のようすです。密度的にはだいぶん楽になりましたが、これでもひと月たつとまた過密になるでしょう。なお今後の飼育は呼び名が中間育成に変わり、魚も仔魚ではなく稚魚と呼ばれるようになります。(作業写真の一部は、昨年のものを使いました)




★ 平成29年 5月5日  シロメバルを中間育成しています

 4月下旬に兵庫県栽培漁業センターからシロメバル稚魚の配付を受け、現在中間育成中です。

 メバルは淡白で上品な白身が特徴の、漁師さんや釣り人にも人気の高い魚種です。兵庫県で試験的に種苗生産していたものが今回うまく育ったため、臨時に配付してもらえることになりました。神戸市立栽培漁業センターに来た後は、3キロリットルの水槽2面で飼育しています。
 現在は、冷凍したプランクトンを水槽につるしたカゴで溶かし、配合飼料を1日に何回も手で撒いて給餌しています。良くエサを食べるようになってはいるのですが、とても目が良く慎重な性質のため、配合を撒く手の少しの動きや音・振動に驚いて、クモの子を散らすように逃げていきます。海の中で生き残るためには大事な性質なのでしょう。
 それにしても大きな目ですね。漢字で「眼張」と書くことがあるのもうなずけます。




★ 平成29年 4月21日  クロアワビとサザエを配付しました

 兵庫県香美町にある但馬栽培漁業センターで飼育されていたクロアワビとサザエを、4月20日に受け取りに行きました。1日置いた今日、神戸市漁業協同組合に配付し、駒ヶ林の港につるしました。

 どちらも巻貝なので(アワビはそうとはちょっと思いにくいですけど…)、中心から外向きにらせん状に成長していきます。人が育てている期間、貝殻のその部分には与えられたエサに応じた色が着きます。例えばアワビは緑色、サザエは銀色っぽい色です。その後放流されて自然の海で成長した部分はふつうのアワビやサザエの色になりますが、その場合でも中心部分の色はそのまま残っているので、その個体が人によって育てられたものと分かります。
 今年は貝をすぐに放流せず、漁師さんが胴丸カゴの中で海藻を与えながらしばらく育成しその後放流するということになり、港内の浮桟橋につるしました。




★ 平成29年 4月17日  マコガレイとヒラメのその後のようすです

 3月27日に兵庫県栽培漁業センターからやってきたマコガレイの稚魚は、毎日エサをよく食べています(マコガレイは暗い夜でもエサを食べることができます)。全長は30ミリメートル以上、来た時の1.5倍になりました。写真の背景のマスは1ミリ角で、顕微鏡では倍率を一番下げても全体が入りきりません。この写真で、マコガレイはもともと体の左にあった目が右側に揃ったことがお分かりいただけるでしょうか。
 4月12日には兵庫県のお父さん(マコガレイの飼育担当者)が飼育状況を見にいらっしゃいました。順調に育っていますと言っていただき、私たちは一安心、稚魚たちも久しぶりに出会ったお父さんに泳ぎ寄り、うれしそうでした(一部創作があります ^^)。
 ヒラメの写真は、日齢24から44にかけての眼球移動のようすです。右眼が徐々に上に移動し、顔の真ん中に達した後は左側に回り込んできます。目が動くだけではなく、目から脳に連絡している神経もあわせてよじれていきますので、体の中で大工事が起こっていることはまちがいありません。それを応援するために飼育者ができるのは、飼育環境を清潔に保つためにていねいに底掃除をし、栄養価の高いエサを過不足なく与えることだけです。
 最後の写真はヒラメのあごに歯が生えてきたところ。将来小魚を食べるために必要な準備が始まっています。ミミズのような生物を食べるマコガレイのやさしいおちょぼ口とはぜんぜん違います。この特徴は、6月に見学にいらっしゃる学校は実際の稚魚で見比べることができます。




★ 平成29年 4月2日  ヒラメを3水槽に分槽しました

 ヒラメの仔魚の全長が10ミリメートルを超え、孵化した時から住んでいる25キロリットル水槽1面では狭くなってきました。また1か月使って水槽の汚れもひどくなってきたため、新しい3水槽に引っ越しました。

 まず水槽の上に分厚い遮光幕をかぶせます。隙間もふさぐと中は真っ暗になります。幕の一部分だけを開いてそこをライトで照らすと、光に集まる習性のある仔魚が少しずつ泳ぎ寄ってきます。隣の新しい3つの水槽まで太いホースでサイホンをかけ、集まった仔魚を飼育水と一緒にゆっくりと送りました。この方法によると、魚を網ですくわずに優しく移槽することができます。
 今年も作業は順調に進み、午前中のうちに仔魚の大部分が受け側のきれいな水槽に移動しました。最後は遮光幕を外し、残っていた少しの仔魚をできるだけボウルですくって人手で移しました。




★平成29年 3月31日  平成29年度の栽培センター見学(小学校対象)のお知らせ

 神戸市立栽培漁業センターでは、小学校での水産業の学習に利用していただくため、見学を受け入れています。平成29年度の見学申し込みの受け付けは4月1日に開始いたします。詳細は「見学のご案内」のページをご覧ください。
 見学は1年を通して可能で曜日にも制限はありませんが、多数の稚魚を見ることができるのは5月から10月くらいの期間です。また防疫上の理由から見学受け入れは1日1校としておりますので、見学候補日が決まりましたら早めに電話でご連絡ください
 写真は展示室のようすと3月31日の飼育魚です。ヒラメは日齢28で全長が10ミリメートルほど、同時に生まれた約30万尾がまだ一つの水槽で飼われています。1月に生まれたマコガレイは3種類のエサを食べながら、ゆっくりと育っています。




★平成29年 3月28日  ヒラメ仔魚の体の変化について

 ヒラメ仔魚飼育の続報です。シオミズツボワムシとアルテミアという2種類の動物プランクトンをよくを食べて、仔魚は日に日に成長を続けています。腸管がリング状になった後、体の前半では頭部に鰭状突起(きじょうとっき)が生え、後半では尾鰭(おびれ)が形成されます。それぞれの成長のようすを5枚ずつの写真でご覧ください。左の列が日齢8から25にかけての鰭状突起の変化、右側が日齢13から25の尾鰭です。
 最後の2枚は今日(日齢25)の記念写真。全長は10ミリメートルくらいになりました。また体高も高くなり始め、ヒラメ特有のうすべったい体つきに向けての変化が始まっています。下でご紹介したマコガレイのような見かけになるのは、まだ1か月ほど先のことです。




★平成29年 3月27日  マコガレイの稚魚を搬入し、中間育成を開始しました

 明石市にある兵庫県栽培漁業センターからマコガレイ稚魚の配付を受けることになり、3月23日に受け取りに行ってきました。兵庫県が生産するいろんな稚魚は県内のあちこちの市町に配付され、そこで中間育成した後で放流されるのですが、このうち神戸市への配布分はすべて神戸市立栽培漁業センターへやってきます。
 今年1月初めに兵庫県栽培漁業センターで生まれた稚魚は全長が20ミリメートルほどになっていました。バケツリレーでトラックの活魚運搬水槽に積み込んだ稚魚は、1時間かけて新しい飼育場所に到着し、屋外の5キロリットル巡流水槽4面に収容されました。
 兵庫栽培での飼育ですでに配合飼料を食べるように慣らされているので、同じような大きさの配合をゼンマイ式の自動給餌器で撒きながら、生きているプランクトン(アルテミア)や冷凍プランクトン(コペポーダ)を与えています。6月ごろには全長が40ミリを超えて、神戸市内の適地に放流できる予定です。




★平成29年 3月16日  ヒラメ仔魚の消化管の変化

 3月8日(日齢5)からシオミズツボワムシを食べ始めた仔魚は、その後も順調に育っています。この時期の体の成長は、消化管(腸管)の形や大きさの変化としてはっきり表れてきます。腸管だけを写した写真を並べますので、そこに注目してみてください。日齢は3・4・5・8・10・11・12です。
 前回3月10日のエントリーでお伝えしたように仔魚は卵黄が小さくなるにつれワムシを食べ始めるのですが、その後腸管は日ごとに太くなり、さらにぐるっと1周円を描くようになります。成魚のヒラメの内臓は狭い場所にコンパクトにまとまっているので、それでも必要な大きさを確保できるようになっているのではないでしょうか。
 顕微鏡で見たり撮ったりするとこのように良く見えますが、水槽の仔魚を肉眼で見ると、うんと近づいても最後の写真のようにしか見えません。仔魚の大きさは全長がまだ6ミリメートルくらいです(撮影は今日、日齢13)。この写真を画面やプリントで見る場合はそのくらいになるようにすると、実際に水槽を眺めている感覚が味わえます。
 これから先の仔魚の成長は、頭部に鰭状突起(きじょうとっき)と呼ばれるトサカ?が伸びたり(でも結局は縮みます)、右目が顔の正中線を横切って左側に移動したり、という形で現れます。なんだか大変そうですね…




★平成29年 3月10日  ヒラメ仔魚がワムシを食べ始めました

 孵化後しばらくはまだ口も直腸も開通していない仔魚ですが、お母さんヒラメからもらった卵黄の栄養を吸収して、日に日に成長していきます。写真は、上から2枚ずつの6枚が、生まれて3日目、4日目、5日目のものです。
 全長は少しずつ大きくなっていますが、それでも200ミリリットルのビーカーに取るとビーカーが巨大な水槽に見えます。両目はまだ一般的な魚のように頭の左右にあります。
 お腹にぶら下げた卵黄は日ごとに小さく形もいびつになり、5日目には油球の周りに少し見えるだけに縮みます。同時に、給餌した動物プランクトンのシオミズツボワムシを食べ始めました。仔魚の近くにもワムシが見えています。
 最後の2枚の写真は、4日目、5日目の仔魚を上から見たもの。この角度からも、5日目にはエサをたくさん食べているのがわかります。お腹いっぱいに入ったエサを見るのは飼育者にとってうれしいことです。




★平成29年 3月2日  平成29年度のヒラメ種苗生産を開始しました

 3月2日にヒラメの受精卵を25キロリットル飼育水槽に収容し、平成29年度のヒラメ種苗生産が始まりました。収容した卵は40万粒です。2日後にこのうちの80%以上が正常に孵化し、全長2ミリメートル少しの仔魚(しぎょ)33.4万尾で飼育を始めました。仔魚とは稚魚になる前の段階を示す呼び名です。これから6月末までの4か月ほど、毎日きれいな飼育環境を維持し、栄養のあるエサを十分に与えて、育てていきます。
 新学期が始まって、小学校の5年生が水産業の校外学習で見学にいらっしゃるのは、早くて5月の半ばごろでしょうか。その時にはもう3センチくらいの大きさになっていると思います。そこに至るまでの成長のようすは、今後更新するホームページの写真でご覧ください。

 まず最初の6枚は、一見何も入っていないように見える水槽の水面に浮かんだ小さな受精卵(直径1ミリ程度)と、万一に備えて余分の卵を丸いネットでもうしばらく管理しているところ。投影機や顕微鏡で観察すると、卵の中で胚胎(はいたい)が発生しているのが見えます。
 続く4枚はその翌日です。棒状だった胚胎の細胞分裂が進み、魚らしい形がわかるようになってきました。このころには卵の中で体をしきりにくねらせるようになります。
 そして最後の2枚は一部の卵が孵化し始めたところ。卵膜が外れると、それまで受精卵の中で丸まっていた体の後半部分がシッポのように伸びるんだなとわかります。このときにはまだ口も直腸も開いていません。




★平成29年 2月24日  冬の作業(その8) ヒラメ種苗生産の準備をしています

 来年度のヒラメ種苗生産開始が近づきました。シオミズツボワムシの培養が順調に進み、ヒラメの良好な受精卵が手に入れば、いつもと同じA-2水槽に卵を収容して種苗生産を始める予定です。おそらく3月の初めになるでしょうか。
 それに備えて、水槽内に卵管理や稚魚飼育の器具を用意し、紫外線殺菌装置の試運転をしました。また水槽いっぱいに海水を満たし、次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。飼育棟に塩素の臭いが広がると、いよいよ飼育シーズンが始まるのだなあと実感します(水槽の塩素はハイポで中和してから廃棄します)。
 1学期に見学にいらっしゃる方には、もうすぐ生産が始まる(今はまだ生まれてもいない)この水槽のヒラメを見ていただくことになります。




★平成29年 2月20日  冬の作業(その7) ワムシ培養を開始しました

 来年度のヒラメ種苗生産に使うシオミズツボワムシの培養を始めました。通常は省略してワムシと呼んでいますが、ワムシはいろんな魚類の稚魚に対して孵化後初めてのエサとして使える、動物プランクトンです。
 2月18日に3億個体を宅配便で搬入しました。大きなコンクリート水槽で飼うには量が少ないので、一時的に小さな水槽に収容します。あらかじめ用意していた培養水と温度を合わせてから収容し、その後ワムシのエサとなる植物プランクトンを添加しました。培養水が緑色をしているのはこのクロレラの色です。
 2日間培養して個体数が5億に増えたので、20日に本培養用の10キロリットル水槽に移しました(ただし今日は5キロリットルで使っています)。水槽中でのワムシの密度は1ミリリットルに100個体ですが、ワムシが小さいためちょっと見ただけでは茶色い水にしか見えません。最後の写真は顕微鏡で見たもの。背景の格子の1辺は1ミリメートルです。
 これを今後も増やし続けて30億個体くらいにし、毎日の増加分(これをエサとして使用します。貯金の利子で生活するようなものですね (^^)/ )が安定して6億ほど出るようになったら、エサの準備は完了です。




★平成29年 2月13日  冬の作業(その6) 原水槽の清掃作業を行いました

 取水サイホン管を通って海から汲み上げられた海水は、生海水を溜める貯水槽3つを経て飼育棟まで届きます。今日から3日間でこれらの水槽の清掃を行います。今日はもっとも海側にある取水槽を清掃しました。
 作業前に行っておく飼育関係の準備は2月1日の取水サイホン管清掃のときと同じです(写真は省略)。それが終わるとサイホンを切って取水槽への海水流入を止め、水中ポンプで海水を抜いてから清掃作業に入りました。
 清掃は取水槽の壁面全面と構築物にジェットポンプでていねいに水をかけて行います(業者さんが作業するのでこのようすの写真もありません)。清掃終了の連絡をもらったら、ふたつめの貯水槽から水中ポンプで海水を戻します。サイホン管の出口が水につかった時点で真空ポンプでサイホンをかけ、取水槽に海水を満たしました。取水ポンプの空気抜きを行いポンプを自動運転に戻したら、清掃作業は終了。飼育水槽への給水を復帰させて今日の予定は終了しました。
 明日明後日は取水槽に続く原水槽・原水高架水槽を同じ方法で洗浄します。なお、濾過槽を通った後の濾過海水を溜める貯水槽2槽は、毎年清掃する必要はありません。




★平成29年 2月8日  冬の作業(その5) 濾過(ろか)槽の濾材交換を実施しました

 栽培漁業センターでの飼育には、海から汲み上げたそのままの海水(生海水)ではなく、濾材を通した濾過海水を使います。元の海水に含まれている汚れや微生物を取り除くことで病気の発生を予防できるからです。神戸市立栽培漁業センターでは、砂利や砂を厚さ1メートルほどに重ねた濾材を使っています。
 この濾材の中に1時間に何十トンもの生海水を通して処理していると、濾材には次第に汚れが溜まっていきます。毎日1回、濾材を海水で洗う逆洗という工程を行っていますが、その効果にも限界があるため、3〜4年に一度は濾材を新品に交換する必要があります。今日はその工事が行われました。
 工事中の2日間は濾過海水の供給が止まるため、飼育魚への給水は前もって、他の水槽からホースで引いた生海水(管の表記は原水)に換えておきました。見学者に見てもらう展示水槽の魚たちも移動しておきます。
 施工当日はまず最初に、濾過槽内に入っても安全かを確認するため有毒ガスの測定を行い、濾材の表面にいたナマコ(これは来年度から始めるマナマコの試験生産に使います)を採集しました。その後、サクション車で古い濾材を抜き取りダンプで搬出する、濾過槽の内部を洗う、ベルトコンベアを使って3種の大きさの濾材(砂利)を充填しそれを人力で平らにする、濾材(砂)に水を混ぜてポンプで送り込む、と作業が進みました。
 濾過槽内が元どおりになって蓋を閉めたのは夜7時過ぎ。今日の作業はここまでにして、新しい濾材の洗浄と試運転等は明日実施することにします。




★平成29年 2月1日  冬の作業(その4) 取水サイホン管の清掃を実施しました

 取水系統の最初(一番海側)にある取水サイホン管の清掃を行いました。サイホン管は内径が35センチの特殊な鋼管製で2本あります。1日目の今日は西側を清掃しました。
 清掃作業中は飼育水槽への海水給水を止めるため、前もって水槽の水位を上げて水温低下や酸素欠乏に対処します。また給水再開に備えて貯水槽を満水にしておきました。
 サイホン管の清掃は、ピグと呼ばれるスポンジ製のタマを管の端に取り付けたランチャーに装填し、その後ろからポンプで水圧をかけて少しずつ押し進める方法で行います。70メートルの管内をピグはゆっくり進み、内側に付着した貝やフジツボをこそぎ落とします。海中ではダイバーが取水先端に生えた海藻などを掃除しながらピグの排出を待ち受けます。今年もピグは順調に進み、5分ほどで海面に浮かびあがりました。硬軟2種のピグを使ってサイホン管1本につき2度の清掃を行いました。明日は東側の管の清掃を実施する予定です。




★平成29年 1月28日  冬の作業(その3) 自給タンクを清掃しました

 3台ある原水ポンプの吸入側に自給タンクが1基ずつあります。写真のようにとても大きなFRP製のタンクです。この中を負圧に保っておくことで、原水ポンプが停止しているときにも配管の海水がひとつ手前の貯水槽へ戻っていかないようにすることができます。
 タンクを常圧に戻した後で点検用の丸窓を開けて中に入り、1年間の汚れをこすり落としました。同時に丸窓も洗い、負圧を制御するための電極棒を交換しました。
 原水ポンプや真空ポンプなど、栽培センターの機械設備は毎年のメンテナンスで部品を交換していきます。そのため数年もすると見かけは同じでも内容は一新されていることがありますが、自給タンクは栽培センターができてからずっと使っている30年モノです。破損につながるような亀裂や異常は見られなかったので、次の冬までの1年間、また働いてくれることでしょう。




★平成29年 1月25日  冬の作業(その2) フロートスイッチの交換工事を実施しました

 栽培センターで飼育に使っている海水は前の海から汲み上げているのですが、ポンプで高架棟の貯水槽にいったん溜めておき重力落下で飼育棟まで送水する方法をとっています。貯水槽には、飼育の使用水量が多くても少なくても大体同じくらいの海水が溜まっているようにしておきます。そのために貯水槽の中に水位を測るフロートスイッチを何個か下げておき、水位が減ってくれば、その貯水槽の手前(海側)にあるポンプを自動で運転させて水位を回復させます。
 このフロートスイッチが働かなくなったり誤動作を起こしたりすると即座に飼育魚に影響が及ぶので、そうなる前に定期的に交換します。作業は専門の業者さんに委託して実施しました。
 今回フロートスイッチを交換した貯水槽はみっつ、地面を掘りこんだところに1槽と高架棟の神戸市マークがあるあたりに2槽です。高架棟は高さが20mあるので、そのほぼ頂上で電気配線をするのはそうとう危険な作業です。眺めはいいのですが。
 交換作業は順調に進み、1日で終わりました。これであと2年ほどは飼育水が安定して供給されると思います。




★平成29年 1月23日  冬の作業(その1) 設備のメンテナンスを始めました

 今年に入って2度目の寒波がやってきました。冬は寒くあるべきなのでしょうが、水仕事には厳しい季節です。。。
 栽培漁業センターでは仕事の内容が冬仕様に変わってきて、飼育作業としてはヒラメとオニオコゼ親魚への給餌があるくらいです。では何をしているかと言うと、その年の飼育結果をまとめ報告書を書く・会議へ出席し他の機関の人と情報交換する・先進地の視察・新しい生産魚種の検討・施設や設備のメンテナンス(自分たちでしたり、業者さんに委託したり)・来年度の飼育に必要な器具の修理や作製・来年度予算の作成、といったようなことです。その中から今回は、設備のメンテナンスのようすを写真でご紹介しましょう。
 作業は上から順番に、水槽の橋の錆落としと塗装・外れたエア配管や水道の固定・フローセル(流量計)の分解洗浄です。




★ 平成28年 11月13日  「トライやるウイーク」を受け入れました

 先週の1週間、神戸市内の4校から中学生が社会体験に来て、一緒に飼育作業をしました。
 写真は木曜日に来た学校の3名です。小学校の見学用にまだおいているヒラメの移槽とその後の水槽洗い、オニオコゼ親魚へのアジ給餌などをしました。前日にあらかじめ底をこすっていても水槽は滑りやすく、足元に注意していると頭を打ちそうになるし、水槽洗いも家の風呂よりはるかに大きく、慣れない人にはくたびれたと思います。でも最後までまじめに作業してくれました。
 栽培漁業センターらしい、しかも初めてでもできる仕事を毎日用意できればいいのですが、なかなかそうはいきません。時には1日中アサリのカゴ洗いだけとか、草抜きで時間を合わせるとか(それも必要な仕事なのですが)いうこともあります。そんな中で、今年も4校の生徒はがんばってくれました。
 最後の写真は別の中学生が貼っていったポスターです。栽培センターの玄関を飾るのは1年に2度、お正月のしめ飾りと秋のポスター。これを見ると、いよいよ飼育作業も終わりかけて、書類仕事と設備メンテナンスの冬が来るんだと感じます。




★ 平成28年 11月10日  小学校の見学風景です

 今年も水産業に関する校外学習として、多くの小学校から見学に来ていただきました。ほとんどが産業について習う5年生です。
 1学期に見学した方にはたくさんの水槽にいっぱいのヒラメの稚魚や屋外水槽のマコガレイを、2学期に来られた方には小さなネットにすし詰め状態のオニオコゼの稚魚を見てもらいます。7月の中旬以降に運よくいらっしゃった場合には、小さなクルマエビが水槽にびっしり入って泳いでいる姿が見られます。
 11月の現在は事業としての稚魚放流はすべて終了し、見学者用にヒラメとオニオコゼを少し残すだけとなりました。それも下旬にある1校が終わると自主放流します。
 飼育している現場に飼育者以外の人が入ることは、稚魚にとっての安全面ではあまり勧められることではありません。疾病の危険性がどうしても高くなるからです。多くの栽培漁業センターではふつう大がかりな見学は受け入れていませんし、大切な時期にはその魚種の飼育担当者しか水槽に近寄らないと決めていることもあります。一方で、見学後の質問コーナーで出てくる小学生のさまざまな意見を聞いていると、不思議に力が湧いてくることもよくあります。彼らから元気を分けてもらっているのでしょうか。それが飼育結果に反映することはきっとあるでしょう。どうぞ来年も多数見学にお越しください(胸鰭の模様が見ごろのオニオコゼより)。